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2010年3月21日のブックマーク (1件)

  • 美の巨人たち

    ローマ市街にあるバルベリーニ宮殿は、かつての名門貴族の館。2階のフロアは国立古典絵画館として使われ、14世紀から17世紀に生まれたイタリア美術の傑作が納められている。 そこに異色の肖像画、グイド・レーニ作『ベアトリーチェ・チェンチの肖像』がある。17世紀初頭に制作されたこの作品は、極めて少ない色数で描かれている。 暗闇の中に少女が一人、別れを告げるかのように振り返っている。白装束を身にまとい、頭にはターバンを巻き、光を浴びて輝く少女。 やせ細った面差しに、唇だけがうっすらと赤みを帯びている。そして、憂いをたたえた瞳には、一点の光。まるで遺影のようなこの肖像画は、22歳でこの世を去った実在の少女の面影を描いたもの。少女の名はベアトリーチェ・チェンチ。 ローマ市内を流れるテベレ川にかかる橋の傍らの広場で、ベアトリーチェは断頭台の露と消えた。いまも語り継がれる400年前の悲劇の伝説──。

    uta-2007
    uta-2007 2010/03/21