Jリーグが開幕した1993年、当時22歳の盧廷潤(ノ・ジュンユン)は結婚したばかりの妻を連れて日本にやってきた。母国から痛烈な批判を浴びながらも、サンフレッチェ広島を選んだ理由はなんだったのか。ソウルの街で思い出を振り返ってもらった。〈NumberWebインタビュー全4回の第1回〉 韓国・ソウルの江南(カンナム)にある韓定食屋が、待ち合わせ場所だった。 「お客さんが来る時は、いつもここでランチをするんです。近くに有名なカフェがあるので、その後はそこでいろんな話をするんですよ」 今年3月に55歳になった盧廷潤は、そう言って、現役時代と変わらぬ屈託のない笑顔を見せた。少し甲高い、かすれたあの声も健在。テーブルにキムチや焼き魚など、色鮮やかなおかずが並ぶと、「これも食べてください」「このキムチ、おいしいですよ」と何度も勧めてくる。かつてのチームメートたちを自宅や焼肉店へ招いたという世話好きな一面

