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ブックマーク / ohnosakiko.hatenablog.com (5)

  • 見送りの準備 - ohnosakiko’s blog

    これまでのところ幸運なことに私は、家族やペットなど親密な対象にある日突然死なれたことがない。祖父も祖母もほぼ平均寿命をまっとうして死に、飼い犬も老衰で死んだ。そこまで年老いていない身内の人々は、まだ皆生きている。その中で、今一番確実に死に近づいているのは、老人ホームにいる89歳の父だ。 入居して1年3ヶ月、興奮を押さえる神経系の薬のせいで半年以上前から会話がほぼできなくなり、夏以降は身体機能が徐々に低下していき、この間、医者に「年内でしょう」と言われた。 随分前から「そろそろかもね」という話は時々母としていたので、今更驚くこともない。父の遺言で通常の葬儀はしないので、改めて母と、斎場の一室ですることになっているごく内輪のお別れ会の段取りなどを相談したりする。 「お別れ会の時、親戚の人に見てもらえるようなお父さんのアルバムがあったらいいんでないの?」と夫が言った。家族のアルバムはたくさんあっ

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  • 丸くなるということ - ohnosakiko’s blog

    1年くらい前の話。デザイン専門学校が終わって帰る道すがら、授業で組んでいる若い講師の人に「しかし大野さん、丸くなりましたよね」と言われたことがあった。 「この間Mさんも、大野さん昔に比べてほんと丸くなったよねって言ってましたよ。私、一緒に授業で組んで3年だと思うんですけど、最初の頃に比べてもそういう気がします」。 確かに体型は前に比べるとちょっと丸くなりましたが‥‥って体型の話ではありません。「学生に対する指導態度」のことを言われているのだ。 ベテランのデッサンモデルのMさんは美大予備校で働いていた時から知っているので、たぶん私の実技指導を一番長く見ている人だ。わりと言いたいことをポンポン言い、ダメなのはスパスパ切り捨てていた昔のイメージに比べると、オダヤカになったということなのだろう。それを「歳を取って角が取れた」と言うのは直接的過ぎるので、「丸くなった」と言ったのだろう。 美大予備校講

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    utoh
    utoh 2013/03/25
    「(芸大入試レベルの)「描け具合」はわりと似ているが、描けない人の「描けなさ」は千差万別」
  • 自意識のセーフティネットを破って - ohnosakiko’s blog

    Midas  絵画とは「この私には世界はどう見えているか」を他人に知らせ共有するもの。そもそも「こんな私を見て!」の人が上手くなるわけがない(才能以前の問題)。 2013/02/25 http://b.hatena.ne.jp/Midas/20130225#bookmark-134087494 その通りだと思うのですが、なんとなく「どこにも居場所がなく、美術方面に流れてくる若者」像を思い出したので、少し長いですが拙書から引用してみます(文中の「私のことをわかって」の前提にあるのが「こんな私を見て!」)。 最初にそうした若者を見たのは、二十年ほど前、美大予備校で働いていた頃でした。「他に何もできないけど絵が三度の飯より好き」「美術だけは人に負けない」というよくいるタイプではなく、「何もできない中で美術がまだ一番マシかなと思っている」タイプ。大学に入れなければ就職するしかなく、それはどうしても

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  • 学歴と絵の才能はあまり関係ない(けど少しはある) - ohnosakiko’s blog

    最近一部で話題になっていた件について。 やはり有村悠さんは15年前に東大に現役合格したという頭脳が足枷になっている。やらおんくらいの低知能なら、黙々と絵を描き続け、絵心がないながらも線だけは綺麗に引けただろう。東大に入れたのだからついでに絵の才能もあるに違いないと人は思い込んでいる。漫画家の多くが低学歴なのを考えれば、知能と絵心の両立が困難であることなどわかりそうなものだが、岡田斗司夫の影響でオタクをやってる有村悠さんは頭でっかちにオタやってるので、能が機能してない。痛快ビッグダディのDQNな父親は絵心があり、なかなかセンスのあるイラストを描く。そういうものなのである。 有村悠さんが売れない同人作家としてやらおんに取り上げられる|ブログ運営のためのブログ運営より 頭が良過ぎて絵が描けない、つまり学歴(偏差値)と絵の才能とは反比例するのではないかという説。それに対して、芸大生は絵の才能が

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    utoh
    utoh 2013/02/25
    「難しいのは、どんなにデッサン力をつけ技術的に上手い絵が描けるようになったとしても、それが他人から見て「おいしそうな絵」「ソソる絵」「欲しい絵」であるかどうかは、また別ということ」
  • ゲシュタルト崩壊する立方体 - ohnosakiko’s blog

    デザイン専門学校で受け持っているデッサンのカリキュラムの中に、幾何形態がある。立方体、円柱、円錐、四角錐、三角柱、球‥‥。誰でも大抵一度は描かされるモノだ。 セザンヌの有名な言葉で「自然界にあるのは円柱と円錐と球だ」というのがあるが、デザイン方面ではまず立方体が描けないことには話にならないようで、「とにかく全員、立方体をちゃんと描けるようにしてほしい」と、私が担当している1年の専任の先生に言われている。 立方体?そんなの簡単だよ誰でも描けるよ‥‥と最初のうちは思っていた。ところが甘かった。 何の前知識もなしに立方体を紙に描かせてみると、半分くらいの学生が、まず正方形を描き、角から斜めの平行線を三延ばして奥行きを作り輪郭を閉じる。「これはありえない世界。空間が歪んでる」と言うと、とても不思議そうな顔をする。 立方体の一面が完全に正方形に見えるのは、立方体が目の高さにあり、一面以外はまったく

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