「派遣切り」や東京・日比谷の「年越し派遣村」…。昨年以降、社会問題化した労働者派遣制度に鳩山政権がメスを入れようとしている。製造現場の派遣禁止などが柱だが、失業率は戦後最悪の水準にあり、雇用環境は依然厳しい。「弱者救済」を目指した派遣見直しだが、企業に大きな負担を強いることになり、雇用を不安定化させる懸念は消えない。鳩山由紀夫首相は難しい政策判断を迫られている。(飯塚隆志、山田智章) 10月27日午後、東京・霞が関の厚生労働省で行われた労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の労働力需給制度部会。席上、全国中小企業団体中央会の市川隆治専務理事が、資料に目をやりながら声を荒らげた。 「これでは75万人が失業する。派遣労働者の保護というが、究極の派遣切り法案ではないか」 議題は「労働者派遣制度のあり方」だった。民主、社民、国民新の3党が合意した労働者派遣法改正に関する審議で、事務方が配布した資料には