平日の昼下がり、人もまばらな遊園地をオッサンが孤独にうろつく姿は不気味である。しかも同好の士と思しき者とたまにすれ違う。お互いに目を合わさない。親しみとも哀れみともつかない空気が一瞬醸し出される。コンプリート目指して無言でスタンプを捺す。後ろには先ほどすれ違った男が順番を待っている。売店をひやかす。2、3のグッズを買う。ミニライブの会場で先ほどの男と隣り合わせる。新技術によって現前した歌姫を拝み静かに盛り上がる。俺たちはまたもや歴史に立ち会ってしまった、お互いに心の中で確信し合って家路につく。そんな9月半ばの「初音ミク夏祭り2012 in 横浜・八景島シーパラダイス」。 かつてドラムとベースはポップミュージックの土台であり、ギターやキーボードなどの上物を乗せれば見えにくくなるものであった。ドラムとベースの助演なくして優れたポップミュージックは生まれないが、あくまでも主役を立てる縁の下の力持