自社の利益のために若者を使い捨てる「ブラック企業」が社会問題化する中、厚生労働省は初の実態調査を始めた。悪質な企業をあぶり出すのはもちろん、根絶する対策を一刻も早く示すべきだ。 「半人前なんだから死ぬ気で働け」「給料を払う価値がない」-。ブラック企業の特徴は、就職難につけ込み、正社員として若者を大量に採用、低賃金で長時間労働を強いる。ほしい人材だけ残し、他は自主退職に追い込んで次々と部品のように使い捨てる。将来あるはずの若者たちは職を失うばかりか、うつ病や過労死、自殺で夢を閉じているのである。 外食産業やアパレル業の有名企業からIT、大学職員などすでに社会の奥深くまで蝕(むしば)んでおり、病巣を放置したままだと、やがて国全体の雇用環境が劣化して「ブラック社会」になりかねない。なぜならブラック企業の多くは業界で一、二を争う好業績で影響力が大きいこと、また経済界が低賃金の非正規を拡大させたこと