読了。どういう本かというのは著者のあとがきの文章にまとまっています。 筆者が、本書を書くきっかけとなったのは、今回の日本のおけるデフレーションを巡る経済論争*1が、約七〇年前に起こった昭和恐慌期に闘わされたそれと全く同じレベルの議論であったことに気づき、ある種の脱力感に苛まれたことであった(これについては、拙著『平成大停滞と昭和恐慌』一〇九‐一一二頁にテーマごとに分類して掲載してある)。この七〇年の間、科学技術は目覚しい発展を遂げ、我々の生活は飛躍的に豊かになったが、我々の経済に対する考え方は全く進歩がなかったのである。筆者は、デフレーションを克服するためには、大胆なリフレーション政策が実施される必要があると考えてきたが、今回の論争では、日本で、リフレーション政策に対して反対の立場をとる経済学者がほとんどであった(不思議なことに、欧米では、リフレーション政策に反対の立場に立つ経済学者は学派