廣田:『好奇心とイノベーション』は、坂井さんが多様な方と対談した本ですが、僕はまずタイトルが魅力的だなと思いました。多くの企業でイノベーションを語るとき、利益を上げるためのイノベーションとか、技術分野でのイノベーションという文脈が多いと思うんですよ。なぜ好奇心という言葉をタイトルに選ばれたんでしょう。 坂井:もともと僕自身、広範囲に好奇心を持っていて、世界中どこでも面白いことがあると、現場に行くタイプの人間です。僕から好奇心っていう言葉は生涯はずれないだろうと思います。好奇心はイノベーションのきっかけなんです。要するに好奇心って、他者があまり関心のないことに突っ込んでいって、普通の人とは違う体験をするということ。『シン・ニホン』の著者の安宅和人さんは、それを異人って言ってますね。 廣田:偉い人じゃなくて、異なる人。 坂井:はい。僕も異人だったんだなと。1960年代の後半、アメリカにひとりで