1957年の創設から70年近くを経て、グッドデザイン賞が新たな転換点を迎えている。かつて「Gマーク」は生活者に「良いもの」を示す確かな指針だったが、若い世代にその存在感は薄れ、デザイン業界の内側では「モノより、コトのデザインばかりが評価される」という声も上がる。そんな時代に、審査委員長として異例の就任を果たしたのが、中川政七商店前会長の中川淳氏だ。「デザインの専門家ではない」と言う経営者は、この賞に何を見、何を変えようとしているのか。(聞き手/音なぎ省一郎、撮影/まくらあさみ) 「Gマークって何?」 若い世代に届かなくなった賞の現在地 ――グッドデザイン賞の審査委員長としては、事実上初の経営者となります。どのような役割を意識されていますか。 中川 僕はデザインの専門家ではないので、審査の一つ一つに細かく関わるというよりは、全体の方向性を示す役割だと考えています。 ただ、審査に関わることはも

