博覧強記のフランス文学者、鹿島茂氏が本の新ビジネスをプロデュースしていることをご存じだろうか。今年3月東京・神保町に開店したシェア型書店「PASSAGE by ALL REVIEWS」と、2017年に生まれた書評アーカイブサイト「ALL REVIEWS」だ。鹿島氏の発想を、運営会社社長の由井緑郎氏が形にし、経営を担う。書店の減少が止まらず縮小を続ける出版市場で新ビジネスを立ち上げた二人は何を生み出そうとしているのか。前編では鹿島氏にご自宅にてお話を伺った。(伏貫淳子) 人が価値を認めていないものに価値を付加する ――「神田古本まつり」と「神保町ブックフェスティバル」が先日、3年ぶりに開催され、神保町が大変賑わいました。PASSAGE by ALL REVIEWS(以下、PASSAGE)もブースを出していましたね。 ちょうど10月に、神保町がいかにして世界に類を見ない(古)書店街になったか