本記事は、グッドデザイン賞2021 フォーカス・イシューと連動しており、双方のサイトへ掲載されています。 2021年度グッドデザイン賞の発表から数カ月、受賞作選定とは別の切り口からデザインの潮流を見いだす「フォーカス・イシュー」の議論は続いている。 フォーカス・イシュー・ディレクターとして「共生のためのデザイン」というテーマを掲げた、デザイナー/クリエイティブディレクターでSIMONE代表のムラカミカイエは、特別賞審査を経て、悩みを深めていた。 「共生のためのデザイン」という言葉に当初込めていた「ウイルスを含む生物、地球、自然環境との新たな共生」という含意だけでは、不十分だと感じたからだ。そこでムラカミは思索を深めるため、識者との対話に臨んだ。 対談相手に招いたのは、人類学者で多摩美術大学教授の中村寛。日本とアメリカをフィールドに「周縁」における暴力や社会的痛苦、差別と同化のメカニズムとい