今の世界経済は、企業や産業、国家が毎年利益を増やさなければならないという成長を前提に構築されている。一方で、近年その成長の限界が指摘され始めている。地球上のどの自然システムにも成長はピークを迎える瞬間があり、それを過ぎると成長は有害にさえなり始めるのにもかかわらず、なぜ経済において、私たちは成長を求め続けるのだろうか。そうした行き過ぎた資本主義が、私たちを取り巻く気候危機や生態系の崩壊を引き起こしているのではないだろうか。 2023年5月、欧州議会は「Beyond Growth(ビヨンド・グロース)」会議を開催した。これまでのGDP成長を目標とするのではなく、エネルギーや物質の使用を減らし、人間のウェルビーイングに焦点を当てた経済活動を推進することを呼びかけたのだ。それ以来、主要な科学雑誌も含む多くのメディアが、脱成長運動について取り上げるようになった。 そうした世界的な流れを受けて202