「わかる、というのは秩序を生む心の働きです。秩序が生まれると、心はわかった、という信号を出してくれます。つまり、わかったという感情です。その信号が出ると、心に快感、落ち着きが生まれます」 脳科学者の山鳥重は『「わかる」とはどういうことか―認識の脳科学』のなかで、そう説明する。人間は起きた出来事に対する「なぜ」を知りたくなってしまう傾向を持ち、正しいかどうかはさておき、取り急ぎ「わかった」という感情に快を抱き、それを求めてしまうのだ、と。 一時的な快の感情を与えてくれる情報やストーリーは、人々を惹きつけ、拡散する。その動員するパワーは、政治やビジネスにおいて便利に用いられ、良くも悪くも社会にインパクトをもたらしてきた。流通する情報の量が増え、誰もが拡散のデバイスを持つ昨今、その影響は拡大し続けているように思う。 そうした流れにおいて、あえて安易な「わかった」を読者に与えないスタンスを貫くメデ
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