Photo by Sergei Wing on Unsplash 2023年10月に刊行された本田晃子氏の著書『革命と住宅』(ゲンロン)は、これまであまり情報発信されてこなかったソ連社会主義時代の建築を詳細に伝える書籍だ。労働者たちのリアルな共同住宅と、国家の理想を投影したアンビルド建築の二部からなり、特に共同住宅のパートでは、家族の解体を促進すると同時に、そのような体制を構築・浸透させるメディアとして住宅建築が活用されたことに触れている。 ソ連の住宅施策は理想に向けて突き進んだが、結果的には成功しなかった。しかし、そのなかで生まれた住宅と生活様式は、共働き世帯が増え、少子化も進む現代日本において「家」の機能を再考するための重要なヒントを与えてくれる。また、社会を動かすポテンシャルを秘めた“理念としての建築”についても考えさせてくれる。 今回は社会主義住宅の概要や当時の世情を中心に、本田氏