先の9月に開催されたシノドス・トークラウンジにおいて、『ケアの倫理とエンパワメント』を出版したばかりの小川公代氏と、国際政治を研究する三牧聖子氏が、「〈ケア〉から見える世界――新刊『ケアの倫理とエンパワメント』を通して」と題した対談を行った。 本記事は、その対談を受け、小川氏と三牧氏が、さらにケアと政治、ケアと平和についての対話を発展させたものである。 小川公代氏(左)、三牧聖子氏(右) 新型コロナ禍のなかでの出版 三牧 『ケアの倫理とエンパワメント』のご出版、おめでとうございます。各方面で大きな反響を呼んでいる本書ですが、この対談では「ケア」という視点から、どのような政治社会や平和が展望されるのかを探っていきたいと思います。というのも、本書では、深い文学的な考察とともに、小川さん自身の現実政治や社会への強い関心が表明されていますよね。文学を通じて、異なる政治や世界への想像力が膨らんでいく