ゲームは「貿易摩擦を起こさない創造産業」である ー ゲームの「アーカイブ」と「作り手育成」という立命館大学ゲーム研究センター(RCGS)の異なる側面を担うおふたり。ゲーム研究・教育に出逢ったきっかけをお聞かせください。 細井:私は経営学が専門で、政策科学部が設置された1994年に本学に赴任しました。セガからセガサターン、ソニーからPlay Stationが発売され、任天堂一強だった家庭用ゲームの世界に競合が現れた年です。それから数年で、ゲームが一大産業になりつつあるという認識が社会的に広まりました。それ以前に日本が強かった自動車などのハードウェア産業は、他国の産業と衝突して様々な貿易摩擦を招きました。しかしゲームは、他国の経済を脅かすことなく広がった。日本の産業史にも前例のないことで、世界的にも驚きをもって受け止められました。この流れの中で私も、ゲーム産業を経営学の対象として捉えるようにな