2019年9月6日(金)より新宿テアトルを皮切りに全国で公開されている映画『タロウのバカ』。過激かつ純粋なタロウ(YOSHI)とエージ(菅田将暉)、スギオ(仲野太賀)の3人の“青春”を描くなかで、育児放棄や社会的弱者の排除、援助交際といった問題にもスポットを当てていく。映画の常識さえも飛び越えて、観客の眼前にまで問いを突きつける渾身のアウトサイダー映画だ。 同作は『日日是好日』や『さよなら渓谷』を手掛けた大森立嗣(おおもり たつし)監督が1990年代に書いた作品。設定は書かれた当時からほとんど変わっていないというが、作中で扱われる理不尽な社会問題は、まるで昨今の日本を浮き彫りにしているようだ。つまり、脚本が書かれた20年前から、私たちを取り巻く環境は大きく変わっていないことになる。 フィクションであることを忘れてしまうほどにリアルで感情がむきだしの作品に、目を背けたくなる人もいるかもしれな