商品の複雑性から投資家と証券会社などの間で争いが増えつつある仕組み債について、販売元の野村証券が昨年12月、一審で支払いを命じられた賠償額を全額支払う和解に応じていたことが分かった。野村は裁判で主張を曲げない例が多いが、専門家は高裁で敗訴に追い込まれるのを避けるためとみている。説明不足が指摘される証券会社側は今後、同種トラブルで苦戦を強いられそうだ。 野村は自社が販売する仕組み債をめぐり、昨年10月に大阪高裁の別の控訴審で全面敗訴している。証券訴訟に詳しい弁護士でつくる全国証券問題研究会(東京)は「業界団体の日本証券業協会は高裁判例を重視する傾向がある。賭博性を認めた一審判決が高裁でも維持され、敗訴判例が重なるのを避けたかったのではないか」と説明している。 問題の裁判は、野村から計2億円分の仕組み債を購入した大阪市内の会社社長が損失額など約1億4千万円の賠償を求めて大阪地裁に提訴。一審