文/伊勢﨑 賢治 日米は「対等」ではない 沖縄で、また悲劇が起こってしまった。 被害者への思いは当然だが、ある怒りが、静かに、こみ上げてくる。それは、米軍属の被疑者へというより、我々日本人の「不感症」への怒りだ。 今回の悲劇を、同胞女性を守れない男子の"男気"、もしくは凶悪犯罪の"比率"の問題に置き換える向きがあるが、非常に遺憾である。 これは、国内に国内法が及ばない世界を内包するという、一つの異常事態をどう捉えるか、の問題である。 いわゆる外交特権の話ではない。外交官が享受する外交特権は、その在留国の国内法による訴追の免除であるが、大使館を置き合う国同士が、それぞれの外交官に対して、「互恵的」、つまりお互いに認め合うものである。つまり、関係は、対等。 日米地位協定は、互恵的、つまり対等ではない。軍事基地を置き、同協定で定める特権を受けるのは、アメリカのみで、その逆はない。日本の自衛隊がア