20年がたった。1998年1月26日は寒い日だった。夕刻、大蔵省中央のらせん階段を大勢の男たちが上がっていく。「省中の省」と呼ばれ、官僚機構の頂点にあると自他共に認めた役所に、東京地検特捜部が強制捜査に入った瞬間を眺めながら、私は「官僚とは何者か」と考えていた。
![(ザ・コラム)官僚とは 「国民のため」か「己のため」か 駒野剛:朝日新聞デジタル](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/e3ca10673ca943e26cb6bd295a698cb03bc2ec80/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.asahicom.jp%2Fimages%2Flogo_ogp.png)
なんなんだ、この結末は? 1日、あの甘利明前経済再生担当相について、東京地検特捜部が不起訴処分にするというニュースが、一斉に流れた。しかも、甘利本人だけではなく、同じく告発を受けていた公設秘書2人も立件見送りになるという。 いっておくが、犯罪が軽微だったわけではない。甘利がやったことは、今、マスコミが大騒ぎしている舛添要一都知事の政治資金問題などとは比べ物にならない、政治家としては最も悪質な賄賂事件だった。しかも、特捜部は最近、政界捜査に弱腰になっていたとはいえ、小渕優子元経産相や小沢一郎のケースのように、秘書の立件まではやるのが普通だった。それが、今回は一切なんのおとがめもなし。これはいくらなんでも異常すぎるだろう。 取材してみると、今回の不起訴決定の裏には、法務省幹部の露骨な捜査潰しの動きがあったことがわかった。しかも、この幹部は明らかに官邸と深いつながりのある人物だった。 捜査潰しの
都市再生機構(UR)と建設会社との間の補償交渉に介入した甘利元経済財政再生TPP担当大臣の元秘書らが、同社総務担当者から多額の金銭を受領し、甘利氏自身も、大臣室等で現金を受領した問題(以下、「甘利問題」という)に関して、昨夜(4月8日)、東京地検特捜部が、URの千葉業務部と建設会社に家宅捜索に入ったことが大きく報じられている。 私は、最初に週刊文春で報道された時点から、ブログ等で「絵に描いたようなあっせん利得」と評し、衆議院予算委員会公聴会でも、「狭いストライクゾーンのど真ん中のストライクの事案」などと表現して、あっせん利得処罰法違反等による刑事事件の捜査の対象とすべき事件であることを繰り返し訴えてきた。 しかし、今年1月にこの問題が表面化し、その1週間後に甘利氏が大臣を辞任したが、その後も、検察が本格的に捜査を行おうとしている様子はうかがえなかった。「検察は参議院選挙までは捜査に着手しな
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