第3回 市場原理の導入は日本の医療を救うか? 李 啓充(マサチューセッツ総合病院・ハーバード大学助教授) (2470号よりつづく) 「医療にも市場原理を」という大合唱 「日本の医療に市場原理を導入せよ」という主張がやかましいほどに唱えられているが,一連の医療改革の動きの中で,市場原理の導入を最も強く主張しているのは,「総合規制改革会議」と,経済産業省の懇談会である「医療問題研究会」である。 総合規制改革会議は,「ビジネスチャンスの拡大」が規制改革の目的の1つであることを明言しているが,医療に関しても,産業界が進出する道を拓くことをその目的としていると考えてよい。議長代理に「病院経営への株式会社参入を認めよ」と以前から強く主張している人物を据える一方で,委員には医療界の人間は1人も入れず,この会議の目的は初めから産業界の意向を一方的に反映させることにあったと言われても仕方はあるまい。 一方,