しかし、本当にそうでしょうか。私には、到底、賛成できる理論ではありません。現に量的金融緩和と拡張的財政政策を続けてきたアメリカでは明確にインフレ経済になりつつあります。日本が永久にインフレ・フリーであり続ける保証はまったくないのではないでしょうか。もし何らかの理由でインフレが発生した場合、2013年以来、「異次元金融緩和」を続けてきた日本銀行も極めて厳しい対応を迫られることになるはずです。 2008年に起こったリーマン・ショックは、マネーバブルの崩壊によって引き起こされたことは皆さんご存じのとおりです。さらに、2011年には東日本大震災が起こりました。これらのショックがさらなる景気後退を引き起こさないよう、政府・日銀は財政拡張と異次元金融緩和に乗り出しました。 その結果、黒田さんが2013年に日銀総裁に就任して以来、100兆円程度だった日本のマネタリーベース(現金と日銀当座預金の合計)が現