最低、最悪の上司に仕えたことがある。まさに拙書『もし顔を見るのも嫌な人間が上司になったら』(文春新書)のタイトル通りの男だ。 彼は、私の課長として赴任してきた。仮にAとしておこう。私は彼の直属の部下、すなわちナンバー2だ。 最悪上司の最悪な行状 Aの最低、最悪を幾つか列挙しよう。 ①エリート風を吹かせまくる。 Aは、かつての銀行トップの縁戚だという噂を自分で流していたが、その血統が有効に作用したのか、人事部などでキャリアを積んだエリートだった。 赴任直後、私に聞こえるように、人事部の上司に「私も営業店の課長ですよ。現場の経験を積めということでしょうね。しっかりやらせていただき、すぐにそちらに戻りますから。よろしくお願いします」と電話した。まるで自分は、君たちのような現場育ち(当時私は営業店しか経験していなかった)とは違うのだとでも言いたげだった。 そしてつかつかと私に近寄り「江上君、家を買