引退レースの1990年有馬記念で優勝したオグリキャップ(左) 希代の人気馬オグリキャップが3日、死んだ。 初めて生のオグリキャップに接したのは1988年5月だった。中央競馬に移籍して重賞3連勝。4連勝を狙い、東京競馬場にやって来た。 できるだけ目の前を歩かないようにするなど、元来おくびょうな性格のサラブレッドの取材は気を使う。だが、オグリキャップは違った。 「写真撮ってもええよ」。池江敏郎厩務員(きゅうむいん)は、暗い馬房の中にいるオグリキャップに対してフラッシュ撮影を許してくれた。それほど度胸のいい馬だった。 体の柔らかさも群を抜いていた。首をぐるりと巡らして自分のおしりにくっつけることができた。 これほどの名馬も競走馬としてのスタートは地方競馬の岐阜・笠松競馬だった。血統が地味なことと、生まれつき右前脚が外側に向いていたことが理由だった。しかし先天的なハンディを、有り余