顔面をハチに巣くわれ、守護神として頼もしい威厳のある表情が失われてしまっていた兵庫県丹波市山南町谷川の常勝寺の仁王像にある修復作業がこのほど完了した。頭部を取り外して、奈良県の文化財修復家のもとで修復を受けて無事に寺に戻され、再び仁王門で以前と変わらぬ迫力あるにらみを利かせている。 2020年8月下旬、口を結んだ「吽(うん)形」像の中空となっている頭の内部にキイロスズメバチが巣作りを始めた。経年劣化で眼球の位置が両眼ともずれたことでできたすき間からハチが出入り。あれよあれよという間に、内部から巣があふれ出し、顔面を覆い始めた。無数のハチが飛び交い危険であったため、参拝者に注意を促し、ハチがいなくなる冬を待つことにした。その間、巣は勢いよく増築され、特に目玉部分を中心に大きく膨らんで、目玉が飛び出したように見える不気味な異形の姿となった。 この出来事を取材した丹波新聞の記事を同寺の宮崎実康住