カツオが出回っている。いつであったか、銚子港へ足を運び、水揚げからセリ、発送、地元での加工作業など一連のカツオにかかわる見聞をしたことがある。 新鮮な刺身から角煮、なまり節、酒盗とひと通り試食にかこつけてかきあつめ、やがて日も暮れて、せっかくだから夜の埠頭で一杯、と仲間たちが地酒を3、4銘柄入れてきて、酒盛りとなった。 ぞんざいに発砲スチロールの皿に載せてあるだけで風情もなにもあったものではないが、さすがに鮮度がいいからカツオは旨い。このように血の気の多い魚は酸化も速いとみえて、包丁を入れた端からどんどん腥(なまぐさ)さが増してくる。生姜(しょうが)、大蒜(にんにく)、玉葱(たまねぎ)、青紫蘇(あおしそ)、茗荷(みょうが)など葷菜(くんさい)を添えてあるのも、臭みを抑えつつ香味で中和させようとの魂胆であろう。 魚類のなかでも一癖ある個性的なカツオだけに、対抗するためにはそれなりに強力な肝の