悪意がないぶん厄介な"間違ったこだわり"を正す 2010年にCMOの森岡毅が入社してからというもの、USJには斬新なアイデアが次々に投入され、大変革ともいうべきテコ入れが行われた。集客アップという至上命題のもと、膨大なデータを分析し、実際にパークを歩いて回った森岡が最初に行き当たった問題は「方向性の間違ったこだわり」だった。 「入社する前のことですが、ショーで使う海賊船に、職人が時間とお金をかけて超ハイレベルなエイジング(古びたように見せる)塗装を行いました。その結果、肝心のゲストからは、かえって『海賊船がボロボロで汚い』と不評だったことがあります。大きなところでいえば、『USJは映画だけのテーマパークであるべき』『大人向けのテーマパークであるべき』という考え方も、方向性の間違ったこだわりの例でしょう。これらの行為が厄介なのは、悪意がなく、正しい行為と信じられているところ。私たちマーケター