スイスにある自らのスタジオで取材に応じたW・ベルトラッキ氏と妻のヘレン氏/Vera Hartmann/13 Photo/Redux ドイツのベルトラッキ夫妻は、数十年にわたって贋作(がんさく)を描き、証拠を改ざんし、念入りに証拠を隠ぺいしてきたが、たった一つの不注意な行動により、彼らの偽造が明るみに出た。 夫のウォルフガング・ベルトラッキ氏は、絵画の偽造用の白色の絵の具に使用する亜鉛を切らしたため、代用品としてオランダのメーカーから亜鉛顔料を購入した。しかし、そのメーカーはその顔料にチタンが含まれていることを開示していなかった。 翌年、ウォルフガング氏が描いた贋作のひとつがオークションにかけられ、280万ユーロ(現在のレートで約4億円)という記録的な高額で落札された。「Red Picture with Horses」と題されたこの絵は、表現派の画家ハインリヒ・カンペンドンクの作品とされてい