現在、サウジアラビアは、サルマン国王の第7男で次期王位継承権者であるムハンマド皇太子主導の下、石油収入に依存する経済体制から脱却するための経済改革プログラム「サウジ・ビジョン2030」を進めているところであるが、その進捗状況は必ずしもはかばかしいものではない。 ビジョンの具体的な数値目標を示した「国家変革計画」(National Transformation Plan)の実施が遅れており、目標数値の下方修正や実現年次の先送りが続出している模様で、年内にも改訂発表があると言われている。例えば、2016年6月に公務員給与の削減が発表されたが、17年5月にはその方針が撤回され、給与の削減分が遡って支給された。 また、歳入・歳出の財政均衡の実現年次も20年から23年に先送りされると見られている。ビジョンの中核は、若年・女性労働力の活用による非石油・民間部門の経済活性化であるが、これまでの石油依存経