2018年は多様な長編アニメーションが劇場で公開された年だといえる。日本国内で絞ってしまうとその多様さは限定されるが、国外の作品や、(劇場版という括りから、いささか外れてしまうかもしれないが)Netflix公開の長編も加えると大きく変わってくる。このジャンルの持つ広がりを感じさせる作品が数多く現れたのだ。 不気味な“夏休みの大作”と、秋に生き死にの境目となった温泉地 さて日本では、劇場版長編アニメーションには特有のマナーがあるといっていい。表向きには“家族で安心して楽しめる、夏休みの大作”という建て前がある。しかし現実には、すべての作家が夏休みのさわやかな冒険を描くことはできるわけがないため、どこかで歪みが生まれる。今年の作品ではどこか不気味なアニメーションが公開されたことを取り上げたい。