政治家を「国葬」とすることの問題点が改めて浮き彫りになった。安倍晋三元首相の国葬を巡り、政府が有識者21人から意見を聞き、結果を公表した。 賛否が分かれたのは、まず実施の意義である。 「功績ある人をしのび、国が一丸になる」との肯定的な意見の一方、「誰に弔意を示すかは個々の国民が評価すべきだ」と否定的な声もあった。 国会に諮らず実施を決めた手続きについても見方が割れた。 閣議決定で問題ないとの政府見解を是認する識者もいたが、幅広い国民的な合意を得るためには、事前に国会が関与することが望ましいとの考えも多数出された。 一方、対象者の基準作りは困難との意見が大勢を占めた。 民主主義の下、多様な意見が尊重される自由な社会では、政治家の業績に対する国民の評価は分かれるのが自然だ。 安倍氏についても同様である。 外交で存在感を示したと評価された半面、強引な政治手法や森友・加計学園、桜を見る会などの問題