在宅勤務を義務づけ、不要不急の外出を控えるよう求める「外出禁止令」が始まり、閑散としたタイムズスクエア=米ニューヨークで2020年3月22日午後8時53分、隅俊之撮影 世界は新型コロナウイルス感染症を収束させるという共通の難題を抱えている。感染者、死者ともに世界最多の米国。感染拡大の中心地、ニューヨークでこの3カ月間過ごした生物学者の福岡伸一さん(60)は、人間とウイルスの関係をどう考えているのか。 ニューヨークの現地時間は深夜0時。日が高い東京から映像をつなぐと、福岡さんは地球上を覆う社会不安の正体を考察していた。「このウイルスが『新型』と名付けられたことによって、初めて出合う未知のウイルスという恐怖が先行しました。病気の名前に『新型』が付く時は要注意です」 なぜ新型とされたのか。「ゲノム(全遺伝情報)の解析技術の進展によって、中国・武漢で検出されたウイルスの全構造がたちどころに判明し、