シングルマザー家庭の貧困率は50%で、38%が貯蓄ゼロだという。そういう状況を見て、たとえ酷い環境下でも「離婚できない」と言う専業主婦は多い。今回、長く離婚の現場を取材し続けてきた上條まゆみさんが出会ったのは、さほど高学歴でもなく、手に職もなく、近くに実家もなく、実家もとくに裕福ではないひとりの女性。彼女はコツコツと準備をし、困難な状況から脱出するための計画を練ったのだという。 いったいなぜ専業主婦が離婚を決意したのか。そしてどうやって実現させたのか。 上條さんの今までの連載はこちら おとなしくてやさしい夫 結婚・出産で家庭に入り、夫の庇護のもとで生活をする。それは、夫が舵をとる小舟に、救命具もつけずに乗り込むようなものだ。それが、いまにも沈みそうな泥舟だったらどうするか。泥舟と運命をともにするのか、それとも思い切って海にドボンと飛び込むか。山野えみ子さん(仮名・45歳)は、海に飛び込む道