年金手帳,健康保険証,介護保険証の3つを統合した「社会保障カード(仮称)」の導入に向けた動きが本格化してきた。「国民が一人一枚所持するICカード」という方向のようである。「個人情報保護の問題に留意して進めるべき」といった指摘は各方面から出ると思われるので,今回は違った角度から疑問点を述べてみたい。 政府(厚生労働省)は,昨年12月21日に開催された「社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会」で,「社会保障カード(仮称)に関する議論のための検討メモ(案)のポイント」という文書を提出した。この文書に列挙されている利用者のメリットには,「自分のレセプト情報や特定健診情報,介護サービスの費用に係る情報を安全にオンラインで確認できる」「自宅のパソコン等からいつでも,自分の年金記録を確認することができる」といったものがある。だが,このような「ICカード・ネット・家庭」の3点セットを前提としたサービ
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