'90年代、松井を主軸に据えた長嶋巨人軍に、大きな壁として 立ちふさがったのが、「ID野球」の野村ヤクルトだった。 稀代の知将が感じた2人の凄み、そしてその攻略法とは――。 長嶋茂雄と松井秀喜がそろって国民栄誉賞を受賞した。 野球界では王貞治、衣笠祥雄につづく受賞である。ジャイアンツという人気チームでつねにファンとマスコミの大きな注目を集め、それに応えるプレーを見せてきた長嶋。その長嶋に手塩にかけて育てられ、メジャーリーグでも名門ヤンキースの中心として活躍した松井。国民栄誉賞がどんな基準で与えられるのかは、私などにはわからないが、ふたりの受賞は多くの人が納得するものだろう。 人づてに聞いたのだが、ふたりの受賞が決まったとき、「残した数字でいうなら野村にも賞を与えてよいのではないか」という声があったそうだ。私自身はとても賞に値するなどとは思っていないが、こうした声をいただけたのは名誉なことだ