父が住職をしてたので禅は身近でした。いざ自分が住職になるとしても、祈りとか坐禅といったものが、人間の心や脳にどう影響するのかを知りたかった。だから、大脳生理学や心理学を勉強しようと、医学部に入ったんです。 精神医学と、禅・マインドフルネスのつながり —— 医学と禅やマインドフルネスというのはどのようにつながるのでしょうか? どちらも心の問題を取り扱いますから、もちろんつながりが深い部分も多いです。 禅の根本理念を気づいた人は、1500年ほど前にインドから中国に渡った達磨大師とされています。その教えに含まれる重要な観点として、行入(ぎょうにゅう)つまり、修行の実践によって悟りを目指すことが、理入(りにゅう)といって、理論的な学びを同じか、それ以上に大切であると説かれました。 心理学の観点でも、William Jamesというイギリスの学者が、「楽しいのから笑うのではない。笑うから楽しいのだ」