仕事帰りに錦糸町駅のプラットホームで、電車を待ちながら某食品メーカー系列のホテルに何気なく目をあてていると、高層フロアの客室で、間接照明をバックに影が動くのが見えた。影は窓際に映っていたが、実体が室内にいるのか室外なのか判然としない。 ただそれは、他のフロアの窓にも見える人影と比べて人の背丈には満たず、窓際にとまっている鳩のようだった。 鳩は別の影が作り出すなだらかな丘を繰り返しついばんでいる。しかし、ホテルの窓枠に鳩がとまれるようなスペースは用意されておらず、他の窓には鳩はいない。やはり鳩はその客室内にいるようだった。 鳩のついばむ速度が徐々に上がってくる。鳩の速度に合わせて、なだらかな丘が波打ち始めた。 その時、裏から人影が現れた。1人、いや、2人。 それは絡み合い、窓際で立ったまま激しくピストン運動を行っている。 鳩は相変わらずついばみをやめない。 僕は全てを察した。 鳩と丘は、窓際