「誰かあ、救急車ーッ!!」 トイレ前からの叫び声に人が集まると、上半身十数カ所を刺された男性が、シャツを真っ赤に染めうつ伏せに倒れていた。付近の女性が救命を試みたが脈は途絶していた。 6月24日夜、福岡市内の施設に講演に訪れていたインターネットセキュリティ会社「スプラウト」社員の岡本顕一郎さん(41)が刺殺された。社会部記者が語る。 「逮捕された無職の松本英光容疑者(42)はトイレ内で岡本さんをレンジャーナイフで後ろから執拗に刺し、頸動脈の傷が致命傷でほぼ即死だった」 凶行の現場となった施設 ©共同通信社 岡本さんはスプラウトではネットメディア編集長を務めていたほか、特定のソフトを使用しないと閲覧できないネットの深層領域(ダークウェブ)を調査していた。 「ネット上の闇市場に自ら入り、顧客企業から流出した情報が違法に取引されていないか、また実際にハッカーと対話しサイバー攻撃の兆候がないかなど