教師の多忙化などにより、授業研究の停滞が国内で危惧されている一方、海外では、日本の授業研究に対する評価が高まっている。日本の強みは、一体どこにあるのだろうか。日本の初等教育に詳しいキャサリン・ルイス研究教授に聞いた。 私が日本の授業研究に関心を持つようになったきっかけからお話します。今から10年前に、4か月間ほど日本の小学校を見学する機会がありました。そのときに驚いたのが、どの先生の理科の授業も、学習内容を日常生活に結び付けて非常にわかりやすく教えていたことです。そのような高度な技術を持つ教師は、アメリカの普通の学校にはほとんどいません。そこで、「その指導法は、どこで身につけたのか」と聞くと、どの先生も「授業研究で学んだ」と口をそろえるのです。 日本とアメリカとでは、算数の教え方も異なります。アメリカでは冒頭で解法を教えてから問題を解かせますが、日本では最初に問題を出し、「挑戦してみよう」