2019年3月22日のブックマーク (1件)

  • ウルトラマンになった男 | わかるWeb

    その日、男は、渋谷発成城学園前行きのバスに乗っていた。 「仕事を辞めさせてください。もう無理です」 それを言うために、仕事場に向かっている。 彼の仕事は、ぬいぐるみ(着ぐるみ)を着て、カメラの前で演技をするものだ。 ただし、それは壮絶なものだった。 体にぴったりのゴム製のぬいぐるみとマスクを着るため、前がよく見えず、呼吸困難になり、1回に15分続けるのが限界だった。 ぬいぐるみに火が燃え移りそうになったり、マスクに水が入って息ができなくなったりと、何度も、命の危険にさらされた。 何ヶ月もの間耐えてきたが、心身ともに限界に来ていた。 始めたころから、体重が5kg以上減った。 「自分には、もうこの仕事は無理だ。辞めさせてもらおう」 それを告げに行くために、バスに揺られていた。 途中で、小学生たちが乗ってきた。 彼らは口々に言った。 「ウルトラマンが怪獣をやっつける時の、スペシウム光線がかっこい

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