人と接するときには、どのような心がけが大切なのだろうか。 きちんと誠実に対応すること? 絶対にウソをつかないこと? 発言に責任を持つこと? いや、どれも間違いである。そういう性質を持っていることは、人間として美徳かもしれないが、相手にいいようにされてしまう危険が大きくなる。 度を越えた誠実さは 相手を図に乗らせる たとえば、誠実な人間が交渉相手である場合、私たちは、誠実な相手だからこそ、こちらもそれなりに誠意を持ってつきあおうとするより、 「あいつは何でも言うことを聞くんだな、よし、少し無理を言ってやれ」 と思うのが普通である。つまり、図に乗らせてしまうのだ。誠実な人間は、相手が冗談で無理な注文を出してきても、それを“さらり”とかわすことができない。本気で考えすぎてしまうのだ。こうなると、無理難題を笑って拒絶することもできなくなり、どうしようもない状況へと追い込まれていく。