大きくは社会の仕組み、身近なところでは働き方や地域経済との関わり、そのよい面と悪い面が、コロナ禍の中で浮き彫りになった。僕たちは、今までとは明らかに異なる経験や頭の使い方をした。リモートワークも住まいとその近辺のみで過ごすステイホームも、平時にはありえなかったはずだ。 しかし、この特異な経験を次にどうつなげていくか。具体的な行動や判断は非常に難しく、安易な決定が危険であることはコロナ以前も以後も変わらない。 僕は『週刊東洋経済』8月3日発売号の特集「コロナ時代の新教養」において、非常事態の渦中で今はまだモヤッとしている思考に確かな軸を、そして新しい視点を与えてくれる本を5冊挙げた。このうち本記事で2冊を紹介したい。 アイデアは既知のもの同士の組み合わせ まずは、『アイデアのつくり方』だ。1940年初版の本だが、ロングセラーとして読まれ続け、1988年の日本初版からも、30年以上経つ。アメリ