2012年05月15日09:09 カテゴリ法/政治 電子書籍を「アンチコモンズ」にするな 日経新聞によれば、政府の知的財産戦略本部は、出版社に著作隣接権を与える方針だという。この記事は「電子書籍で読める作品の数を増やすため」と書いているが、これは嘘である。出版社に隣接権を認めると、一つの本に多くの権利者が拒否権をもつアンチコモンズ状態になって、電子出版は止まってしまうだろう。 今でも、出版社は隣接権を実質的にもっている。紙の本をスキャンして電子化するとき、「版面権」と称するものを主張するのだ。これには法的根拠はないが、実質的に出版社が許諾権をもっているため、電子化の大部分の時間は著作権の交渉に取られる。これを法的に認めたら、独立系の出版社が電子化することは不可能になる。 日本で電子書籍が出てこない最大の原因は、出版社に隣接権がないためではない。アマゾンのKindleやアップルのiBooks