ブックマーク / honz.jp (22)

  • 『しらふで生きる 大酒飲みの決断』生きることは寂しい、だからこそ酒を断つ - HONZ

    30年間毎日欠かさずに酒を飲み続けてきた作家、町田康の断酒エッセーである。こう書くと酒をやめて健康になった暮らしぶりを健やかにつづったエッセーを想像してしまうが、決してそんな生易しいものではない。 その証左としてまずは目次からいくつかの見出しを引用してみよう。〈飲酒とは人生の負債である〉〈私たちに幸福になる権利はない〉〈「私は普通の人間だ」と認識しよう〉〈「普通、人生は楽しくない」と何度も言おう〉〈「自分は普通以下のアホ」なのだから〉と畳みかけてくる。目次の時点で強烈なジャブをらわされる。 そもそも著者はなぜ酒をやめると決断したのだろうか。何しろ自他共に認める大酒飲みで、古代の政治家・歌人・酒飲みである大伴旅人と、彼が詠んだ「酒を讃(ほ)むる歌十三首」のみを信じて酒を飲み続けてきたような男なのだ。当然読者が気になるであろう、この問いに対する著者の答えは「気が狂ったからである」というものだ

    『しらふで生きる 大酒飲みの決断』生きることは寂しい、だからこそ酒を断つ - HONZ
  • 『全告白 後妻業の女』67歳で婚活、狙いは寂しい高齢者 - HONZ

    「毒婦」と呼ばれる女性が世間を騒がすことはあるが、見るからに妖艶さを身に纏っていたり、いかにも男性がだまされたりするんだろうなという雰囲気を醸し出したりしている場合は意外に少ない。京都、大阪、兵庫3府県で起きた連続青酸死事件の犯人・筧千佐子(逮捕時67歳)も、どこにでもいそうな気さくなおばちゃん、どころか、おばあちゃんにしか見えない一人だろう。 事件は、2013年12月に死亡した京都の筧勇夫さん(75歳)から、青酸化合物が検出されたことから全てが始まる。警察がの千佐子の周辺を探ると、1994年に夫を病気で亡くして以降、結婚相手や交際した高齢男性が相次いで死んでいることがわかる。なんとその数は11人。結婚相手の遺産はもちろん、内縁関係でも、ご丁寧に遺言公正証書まで作成させて資産を相続していたために、連続不審死事件の様相を帯びてくる。 著者は彼女との対話や手紙のやりとりを通じて、事件の全容に

    『全告白 後妻業の女』67歳で婚活、狙いは寂しい高齢者 - HONZ
    washi-mizok
    washi-mizok 2018/07/23
    via Pocket July 11, 2018 at 07:43AM
  • 『教養バカ』会話が通じない人へ - HONZ

    4歳の息子がお腹が猛烈に痛いと叫び、15分おきに下痢するので緊急で病院に行った。 ひととおり受診し、「先生、何の病気だったのですか?」と私が尋ねると先生は、 「カンピロではないと思います。その場合は一週間出血しますし、ノロ、ロタの類でもないでしょう。今は症状のジュウトク化を防がないといけません」 えと、それで…。私の質問に答えていないと判断したので、思わず 「先生、私は医師ではないのです。医学用語でなく、わかるように答えていただけますか?」 と言ってしまった。先生は「失礼しました。細菌性腸炎の疑いが強いです」と仰ったのだが、お互いにぎこちなさを味わい解散した。というか、いつも医師と話をすると腑に落ちない感じがする。質問が性急すぎるのだろうか? 知識ばかりをつめこむ。ひけらかす。自分中心の会話をする。上から目線の発言をする。 そういった人達を、もれなく書では「教養バカ」と呼んでいる。 彼ら

    『教養バカ』会話が通じない人へ - HONZ
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    washi-mizok 2017/02/14
    via Pocket February 14, 2017 at 07:46AM
  • 『「鬼畜」の家 わが子を殺す親たち』愛していたけど、殺してしまいました - HONZ

    タイトルだけを見れば、自分には理解できない種類の人たちが、目を覆いたくなるような行為ばかり繰り広げる内容と思われるかもしれない。だがその予想は、大きく裏切られることになるだろう。最初はよくある感情の行き違い程度なのだが、それが引き寄せられるようにいくつも重なり合い、気付けば取り返しのつかないことになっているーーそんな印象だ。 書『「鬼畜」の家 わが子を殺す親たち』で紹介される3つの事件は、実子への虐待、殺人、死体遺棄などで世間を賑わせたものばかりである。厚木市幼児餓死白骨化事件、下田市嬰児連続殺害事件、そして足立区ウサギ用ケージ監禁虐待死事件書はこれらの事件の詳細を、丁寧に追いかけたルポルタージュである。 ネグレクト、DV、嬰児殺し。この手の事件が起これば、その親たちは「鬼畜」と呼ばれ、その非道な行為は瞬く間に広まっていく。だが、犯人たちは、いずれも法廷でこう述べた。「愛していたけど

    『「鬼畜」の家 わが子を殺す親たち』愛していたけど、殺してしまいました - HONZ
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    washi-mizok 2016/08/24
    via Pocket August 24, 2016 at 09:30AM
  • こうして角田美代子は、人間をロボット化させた! 『尼崎事件 支配・服従の心理分析』から見えた戦慄のメカニズム - HONZ

    こうして角田美代子は、人間をロボット化させた! 『尼崎事件 支配・服従の心理分析』から見えた戦慄のメカニズム 尼崎事件は兵庫県尼崎市を中心に複数の家族が監禁・虐待され、死へ追いやられた連続殺人事件である。首謀者の角田美代子は、長年に渡り、様々な家族を乗っ取り、金を脅し取ったうえで、崩壊させていった。その過程では、少なくとも9人が死へ追いやられており、しかも角田美代子が直接手を下すのではなく、取り込んだ家族を意のままに操り、家族同士で暴力を振るわせ壊滅させたことが特徴とされている。 逮捕から約1年後の2012年12月12日、角田美代子は留置場で自殺した。そのため事件の真相が永遠に解明されない可能性は高い。だがそれを、巻き込まれた一人の人物の視点へ着目することによって、この事件がどのように起こりえたのか解明しようと試みたのが、書『尼崎事件 支配・服従の心理分析』だ。 著者は、被告人Aの弁護

    こうして角田美代子は、人間をロボット化させた! 『尼崎事件 支配・服従の心理分析』から見えた戦慄のメカニズム - HONZ
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    washi-mizok 2016/03/14
    via Pocket March 14, 2016 at 06:28PM
  • 『「少年A」被害者遺族の慟哭』「謝罪と贖罪」の現実 - HONZ

    藤井誠二が書いたのでなければ、私はこのを手に取らなかっただろう。「少年A」というキーワードはこのところ傷気味で、もういいかげんうんざりしていたのだ。 2015年の夏、突然出版された『絶歌』という手記も、ノンフィクションを主に書評している私は読まないわけにはいかなかったし、誰かに聞かれれば内容だけでなく、構成力や文章の巧拙についても語らなければならなかった。としての出来なら、悪いわけではない。でも垣間見える自己顕示欲の強さやある種の優越感、全能感みたいなものが堪らなくイヤだった。 だが「元少年A」を英雄視する少年少女は後を絶たない。凶悪で快楽的な少年犯罪が起こるたび、マスコミによって酒鬼薔薇事件との比較が行われる。事件ごとにルポルタージュが出版されるのは仕方ないにしても、被害者の気持ちを考えるといたたまれないのだ。 藤井誠二という書き手は違う。彼は1980年代から一貫して少年犯罪、ある

    『「少年A」被害者遺族の慟哭』「謝罪と贖罪」の現実 - HONZ
  • 『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』文明再起動マニュアル - HONZ

    先週末30年ぶりにシリーズ続編として公開された『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は突き抜けて凄まじい、破壊的なエンターテイメントだった。崩壊した地球文明の後に残った脳筋の男共が滅茶苦茶に改造されもはや原形が何だったのかさっぱりわからない車とバイクに跨り、何故か火を吹くギターを持って、裏切り者の女共を追いかけ上映時間の殆どをカーチェイスに費やす。走れども走れども砂漠以外何も見えない、荒廃した大地。資源は限られ少ない物資をヒャッハー!! と、暴力によって奪い合う、力こそ正義! な地獄絵図な世界が広がっている。 しかし、仮に核戦争なり宇宙人の侵略なり異常気象なり隕石の衝突なり、原因をどこに求めるにせよ、文明がいったん崩壊してしまったとしたら、当にそんな破滅的な状況になるのだろうか? 失われてしまった文明はもはや戻らないのか? 逆に復興できるとしたら、どうやって? 書は書名である『この世界

    『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』文明再起動マニュアル - HONZ
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    washi-mizok 2015/08/06
    via Pocket June 25, 2015 at 07:39PM
  • 『ホワット・イフ?』一生懸命お茶をかき混ぜれば、沸騰させることが出来るのか? - HONZ

    このように、2分でカップ1杯の水をお湯にしたいなら、700ワットの動力源が必要になる。 一般的な電子レンジの出力は700から1100ワット (日の家庭用電子レンジの場合は200~1000ワット)なので、お茶を入れるためにカップ1杯の水を加熱するには約2分かかる。物事の帳尻がきっちり合うのは気分がいいね! カップ1杯の水を電子レンジで2分間加熱すると、ものすごい量のエネルギーが水に与えられる。ナイアガラの滝の一番上から落ちるとき、水は運動エネルギーを獲得し、その運動エネルギーは滝の落下点では熱に変わる。しかし、それだけの距離を落ちたあとも、水の温度は1度の数分の1も上がらない。カップ1杯の水を沸騰させるには、大気圏の一番上よりも高いところから落とさねばならない。 人間がかき混ぜて、電子レンジと張り合うなんて可能なのだろうか? 業務用ミキ

    『ホワット・イフ?』一生懸命お茶をかき混ぜれば、沸騰させることが出来るのか? - HONZ
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    washi-mizok 2015/07/02
    via Pocket July 01, 2015 at 07:20PM
  • 『ホワット・イフ? 野球のボールを光速で投げたらどうなるか』 - HONZ

    「すべての人間が一カ所に集まってジャンプしたらどうなるか?」など、ふと気になっても、「いや、そんなことはありえない」と、うっちゃってしまうような疑問や、「周期表を現物の元素で作ったらどうなるか?」など、突拍子もない疑問に、科学と数学と、シンプルな線画のマンガを使って答えるアメリカでは、サイエンス系のとしては破格の大ヒットで、ニューヨークタイムズのベストセラー・リストに34週連続で載った。 著者のランドール・マンローは、大学で物理学を学んだあとNASAでロボット工学者 として働いた人物。現在はフルタイムのウェブ漫画家で、「恋愛と皮肉、数学と言語の ウェブコミック」、xkcdというサイトを運営している。そこから派生した読者投稿サイト、xkcd What If が書のベースだ。マンローは投稿される疑問に、数学と科学、そして「ユーモア力」を駆使して、あっと驚くような答えを出す。その過程で、

    『ホワット・イフ? 野球のボールを光速で投げたらどうなるか』 - HONZ
  • 『美貌格差』生まれつき不平等の経済学 - HONZ

    現代社会において、親の年収、生まれ持っての美貌、また育つ環境など人の努力では埋められない格差は確実に存在する。 それでも生き方の自由は保持されており、美貌を持つ人がさらに戦略を持って生きるのも自由だし、反対に美貌を持たざる人が徒手空拳的に人生に臨もうが、生き方自体は(程度によるが)否定はされず自由に選択できるといえる。 よく「ブサイクは意外と性格が悪いよ」「美人のほうが素直でいい子が多い」などという論議があるが、これは正義とか道徳的な話ではなく、確実なのは人は誰しも容姿について強い興味があり、書ではそれらが引き起こす格差が存在するという事実を論じている。 書では客観性をもって人の容姿・美形がどのように社会のステイタスに影響を及ぼし、そのお得度合はどの程度なのかを科学的に測定している。例えばCEOの容姿は企業業績に影響するのか?など。私達が生きる社会において容姿というのは、給料から就職

    『美貌格差』生まれつき不平等の経済学 - HONZ
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    washi-mizok 2015/03/09
    via Pocket March 09, 2015 at 07:53PM
  • 『似ていることば』 - 「林」と「森」はどう違う? - HONZ

    似て非なる言葉というのは、世の中に数多く存在する。だが、どこが似ていて、どこが違うかを正確に説明するとなれば、言葉の定義をきちんと理解していることが必要だ。 とはいっても諸説あるのが、言葉の由来。それらのルーツを吟味しながら現場へと足を運び、さらには言葉の違いの決定的瞬間を写真に収める。そんなチャレンジに果敢に挑んだのが、書『似ていることば』である。 2枚の並べた写真を見比べることで違いに気付き、めくった次頁の説明によって言葉で理解する。この発見と理解という二つの欲求を、一度に満たせる編集の妙。さらに似ていることばのチョイスも、「知っているようで、知らない」ものばかり。全38組の言葉の中から、そのいくつかを紹介してみたい。 ◆「足」と「脚」は何が違うのか?

    『似ていることば』 - 「林」と「森」はどう違う? - HONZ
  • 『教誨師』 死刑囚と向き合い続けた男 - HONZ

    教誨師とは、拘置された死刑囚と唯一面接できる民間人である。面接を望む死刑囚と対話し、ときに悔悟を促し、教え導く役割を負う。そしてさらに、面接を続けた死刑囚の刑の執行にも立ち会うという、過酷な任務でもある。 無報酬の「仕事」であり、多くの場合、牧師や僧侶など宗教家が、その役割を担う。そんな過酷な仕事をタダで誰がやるのか、と疑問が起こるが、宗教家にとって「教誨師」という肩書は「まことに美しい響きを持っている」そう。新興宗教もある程度組織が整うと教誨活動を申し出るのだという。 ただし、書に登場する教誨師、浄土真宗の僧侶である渡邉普相は、そんな肩書に惹かれて教誨師になったわけではない。昭和30年代、浄土真宗の世界では知る人ぞ知る、型破りな僧侶であった篠田龍雄という教誨師に、自分の仕事を継いでほしいと言われたのだ。広島で被爆して多くの死を目の当たりにし、その後売春婦救済の社会貢献活動に取り組みたい

    『教誨師』 死刑囚と向き合い続けた男 - HONZ
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    washi-mizok 2014/02/19
    via Pocket February 14, 2014 at 07:35PM
  • 『ヤンキー経済』六本木からも丸の内からも見えない世界 - HONZ

    書は業種や職種によっては、いますぐ役に立つビジネス書である。最終章のタイトルは「これからの消費の主役に何を売るべきか」。その最終章にはたった780円でこんなに教えてもらっていいのかというほどたっぷりと、具体的なビジネスのアイディアが満載なのだ。 たとえば、これからのビジネスとして、ネットでの有名ブランドの中古品販売は流行るはずだ。その場合はPCサイトではなく携帯サイトでなければならない。決済はアプリ課金のように電話料金に上乗せするべきだ。操作をできるだけ簡単にし、アイコンをかっこ良くしないと失敗するかもしれない。 たとえば、自動車メーカーは極限まで装備を簡素化することで安くした大型ミニバンを作るべきだ。ユーザーには「いかつめ」なライトやバンパーを徐々に自分で後付できる余裕を残すべきた。 たとえば、旅行代理店は家族同士による大部屋宿泊ディズニーリゾートツアーを作るべきだ。パークのチケット代

    『ヤンキー経済』六本木からも丸の内からも見えない世界 - HONZ
    washi-mizok
    washi-mizok 2014/02/10
    「どちらかというと低学歴で低収入、小中学時代からの友人たちと「永遠に続く日常」を夢見る人たち」/収入は結構ありそうな家業後継ぎもいる
  • 『誘蛾灯 鳥取連続不審死事件』 この街には行くところがない - HONZ

    2009年秋、2つの連続不審死事件が明るみに出た。いずれも30代の小柄の肥満体型の女性が幾人もの男性を虜にして多額の金を貢がせていた格好だったが、世間の反応は対照的だった。 首都圏でネットを通じて知り合った中高年の独身男から金をだまし取り「セレブ」な生活を送った木嶋佳苗。法廷での服装や突拍子のない発言まで詳細に報じられ、佳苗の裁判の「追っかけ」まで登場した。 一方、鳥取県の寂れたスナックで5人の子どもを抱えながら出会った男達を手玉に取った上田美由紀。木島佳苗が独身の中高年がターゲットだったのに対して上田美由紀は子持ちを狙った。それも刑事や読売新聞記者という収入や社会的地位が低いわけでもない人間が多い。だが、彼らは青白く瞬く「誘蛾灯」に吸い寄せられるように子や職を捨てでも美由紀の元に走り、最終的には謎の死を遂げる。ダンボール箱をかぶった状態で轢死するなど木嶋事件よりも、謎の点も多いのだが

    『誘蛾灯 鳥取連続不審死事件』 この街には行くところがない - HONZ
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    「宿帳」である。旅館やホテルでの宿泊では記入が義務づけられているとはいえ、最近はネットで予約しがちなので、印刷されたものにサインする…more

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    washi-mizok
    washi-mizok 2013/11/29
    彼女の運命はあまりにも過酷だ。いや、発展途上国などでは日常的に起きている出来事なのかもしれない。たとえそうであっても、それは彼女の身に起きたことへの慰めにはならないだろう。本書は著者自身が体験した悪夢
  • 『職業治験』治験だけで生活をするプロの生態 - HONZ

    このは治験だけで生活をする男の体験記である。初めての治験から、プロ治験者の第一人者「教授」との出会い、「教授」を介した裏ルートでの治験、海外での治験、プロ治験者の末路など、著者が経験した出来事をまとめただ。これがとてもおもしろく最後まで一気に読んでしまった。治験というある種グレーな世界が、こんな風になっているとは……という驚きとともに、きっと治験の世界に興味をもつことになるだろう。 新薬を開発するためには治験が欠かせない。治験というのは薬を世に送り出すために必要な臨床試験のことである。何百回にも及ぶ動物実験で安全性を確認したのち、薬効と副作用を調べるために行われる人体実験のことだ。第一段階の治験では、健康な成人に薬の成分を薄めたものを投与してデータを取る。薬効の確認というよりは、重大な副作用がないかどうかといった安全性を確認すること。また薬が体内に入ってから出るまでの時間、すなわち薬物

    『職業治験』治験だけで生活をするプロの生態 - HONZ
  • 知識より 読書が大事 『検証・学歴の効用』 - HONZ

    学歴が無用だとか、学歴なんか意味がない、と言われるとどきっとする。大学で禄をんでいる者としては、『売り物』を否定されるようなものなのだから当然のことだ。しかし、当のところはどうなのだろうか。どうも優勢な気がする学歴否定派は、学歴があってもこんなアホがおる、とか、学歴がなくてもこんなにすばらしい人がいる、とかいう少数のイメージで論じているようなところはないだろうか。 学歴肯定派が劣勢に見えるのは、学歴に効用がある、ということを何度繰り返しても、ふうん、と思われるのが関の山だからだろう。とはいえ、学歴肯定的な自分の考えも、こうであってほしい、というだけで、なにかエビデンスをもっているわけではない。意外なことに、序章にあげられているデータは、学歴による収入差は次第に増加している、すなわち、学歴の効用が増していることを示している。にもかかわらず、その間に、学歴の効用を問う方向性が高まっているの

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    washi-mizok 2013/08/22
    用意された回答にたどり着く方法を練習するのは高校まで
  • 『死刑でいいです』モンスターと呼ばれて - HONZ

    「母を殺したときの感触が忘れられなかった」 エロとグロのレビュー担当者を自認しているとはいえ、朝から気味の悪い言葉を記してしまった。山地悠紀夫の言葉である。 2000年、16歳で実の母親を撲殺。少年院を出所後の05年に面識のない姉妹を刺殺。反省を一切見せずに死刑を自ら望み、09年7月28日に25歳で死刑に処せられた山地悠紀夫。書は彼の人生に迫った一冊である。 親族、医師、同級生、担任教師、少年院仲間、弁護士、出所後に所属したゴト師集団の同僚・・・。人への取材が難しい中、著者である共同通信社の2人の記者は山地の息づかいが聞こえてくるほど丹念に取材を重ねる。酒乱で家庭内暴力を振るう父、その父が病気で苦しみ、死の間際にあっても見て見ぬふりをする母親。水道が止められ、山地のバイト代までをも母が財布から盗むほどの貧困発達障害いじめ。哲学書を愛用する一面。周囲と自ら壁を作り孤立する出所後。ゴト

    『死刑でいいです』モンスターと呼ばれて - HONZ
  • ホント!? 『反省させると犯罪者になります』 - HONZ

    犯罪者を反省させればさせるほど、累犯者が増える。それどころか、ちょっと悪いことをした人を反省させることを繰り返していけば、その家系からいずれ犯罪者が生まれるかもしれない、と著者は主張する。 うそだろ? とまず思う。しかし書を読み進めれば、多くの人が「体感」として腑に落ちるはずだ。 ポイントは「反省すると犯罪者になる」ではなく、「反省させると……」だということ。そしてその「反省させる」とは、具体的には、子どもの頃から(少なくとも私は)言われ続けた「言い訳するな! 反省しろ!」といった態度のことを指す。こういったシチュエーションでの「反省させる」には、必ずといっていいほど「言い訳するな」と「相手の気持ちになって考えろ」という言葉がセットになっているが、何よりこれがいけない、というのだ。 著者はLB指標の刑務所で更生支援をしている。HONZの読者ならおなじみの言葉かも知れないが、Lはlongの

    ホント!? 『反省させると犯罪者になります』 - HONZ
  • 『この甲斐性なし!といわれるとツライ』日本の罵倒語 - HONZ

    語の語源を解説する書籍は書店でもよく見かけるが、書は悪態・罵倒語に絞ってとりあげ、使用法の変遷を振り返っている。なぜその言葉が使われるようになり、使いつづけられるのか。新聞や、各種文学作品、古事記や日書紀などの古典、国会会議録などから用例を地味に拾っている。その地味な作業と対照的に目次は過激な文言が並ぶ。罵倒語のだから当然といえば当然だが。 序章-バカヤロー!、1章ーブスとババアと淫乱と、2章ー弱くて臭いは甲斐性なし、三章ー犬は畜生、は泥棒、4章ー鼻くそほじって、クソらえ 目次を読んでいるだけで、誰かを罵倒しているいる気がしてくる。眺めているだけでもすごいが、声に出すともっとすごい。「鼻くそほじって、くそくらえ」など育ちがすこぶる良い私など言葉に出すのをためらってしまったほどだ。2章と4章を組み合わせて「弱くて臭いは甲斐性なし。鼻くそほじってくそくらえ」などとに叫ばれた日に

    『この甲斐性なし!といわれるとツライ』日本の罵倒語 - HONZ