厚労省・社保庁の情報通信システムの開発と運用を評価するとき,多くの人たちが見落としている事実がある。それが国民年金制度の制度改定だ。制度が改定されると,情報通信システムの開発や運用に関する要件が変更される可能性がある。 システム開発費用は年金特別会計の「業務勘定」が負担する その簡単な例が,システム開発費用の負担である。 民主党が提出した“年金流用禁止法案”が11月2日,参議院で可決された。この法案の趣旨は,「被保険者から徴収した年金保険料は年金の給付以外には使わない」というものである。 社保庁の組織運営と年金運営の費用は基本的には“年金特別会計”の範疇(はんちゅう)で賄われる。その年金特別会計には「業務勘定」と称する費用支出の予算措置がある。この業務勘定は,基本的には3分の1が国庫負担で,残り3分の2が年金保険料収入から流用されている。直近の予算と実績の概要は,社保庁のホームページに掲載