中国・上海で分離された新型の豚インフルエンザウイルスの中に、ウイルスの増殖に関係する遺伝子がヒト型に変異しているものが見つかった。この変異があると、人間の体内で増殖しやすくなるとみられる。変異したウイルスが広がり、感染力や病原性をより高めていく恐れがある。 5月31日に上海で22歳の女性から採取したウイルスで変異は見つかった。上海公衆衛生臨床研究所が、分析結果をネット上で発表した。 ウイルスに詳しい河岡義裕・東大医科学研究所教授によると、インフルエンザウイルスのPB2という遺伝子が作るたんぱく質は、感染した相手の体内での増殖能力を左右する。たんぱく質はアミノ酸がつながってできている。新型インフルのPB2では、627番目のアミノ酸がグルタミン酸だが、上海のウイルスはヒト型のウイルスと同じリジンになっていた。 グルタミン酸のウイルスは37度前後でしか効率よく増えないが、リジンは33〜37