東日本大震災の発生から半年が過ぎたが、校舎の天井や壁が崩落するなど壊滅的な被害を受けた那須高原海城中学・高校(那須町豊原乙、茂木雅之校長)は再開の見通しが立っていない。豊かな自然の中で寮生活を送っていた生徒176人は今、高層ビルに囲まれた東京都内の姉妹校で学校生活を送っている。「那須に戻りたい」-。母校への思いは募る一方だ。 9日、東京都新宿区の海城中学・高校。一角にある3階建ての建物が那須高原海城中・高の仮校舎だ。教室からは教師と生徒の活気あるやりとりが聞こえてくる。 「当初は環境の変化に体調を崩す生徒も多かったが、すっかり落ち着いた」。塩田顕二郎教頭(38)は感慨深げに振り返る。 3月11日午後2時46分。定期試験を終え、ひと息ついた生徒たちを大地震が襲った。大半の教室で天井や壁が崩れ、「けが人が出なかったのは奇跡」(塩田教頭)の惨状。被害の少なかった教室に生徒を集め氷点下の夜を布団に