ウサギ「カメよ、お前はどうしてそんなに遅いのだ」 カメ「遅くないよ」 ウサギ「それなら競争するか」 カメ「いいとも」 ウサギ「目的地はのろまのお前に選ばせてやるぞ」 カメ「それじゃあ、あそに見える小島まで競争だ」 ウサギ「それで勝ったつもりか、ウサギは泳げるんだぞ」 そう言ってウサギは海に飛び込んで泳ぎ始めました。 カメは悠々と泳いで島に向かいました。ウミガメのようには上手に泳げないので、ゆっくりと着実な泳ぎでした。 しかし、その海にはサメが棲んでいました。あわれなウサギはサメに食べられてしまいました。 カメも途中でサメに襲われましたが、ウミガメと違って、このカメは手足や首を甲羅の中に入れることが出来たので、硬い甲羅に守られて助かりました。 教訓:それぞれの生物はそれぞれに特徴があるので、一律の基準で優劣を判断することはできない。 イソップ寓話集 (岩波文庫) 作者:イソップ,中務 哲郎