1.ハラスメントに冷淡な裁判所 労働者側の代理人弁護士として常日頃問題だと思っていることの一つに、裁判所のハラスメントに対する冷淡さがあります。 裁判所はなかなかハラスメントの成立を認めません。かなり不穏当な言動がとられていても、「業務の範囲を超えているとはいえない」といった理屈でハラスメントの成立を否定します。 また、ハラスメントの成立が認められる場合でも、多くの事案では極めて低額の慰謝料しか認定しません。その慰謝料水準の低さは、弁護士費用を賄うことすらままならないことが多く、法律相談をしている中で説明すると、しばしば相談者からびっくりされます。 強い言葉に響くかも知れませんが、率直に言って、このハラスメントに過度に謙抑的な裁判所の姿勢は、ハラスメントを助長する一因になっていると思います。 近時公刊された判例集にも、裁判所のハラスメントに対する謙抑的すぎる姿勢がうかがえる裁判例が掲載され