「嫌消費」世代の研究 [著]松田久一[評者]長薗安浩[掲載]週刊朝日2011年1月7・14日号著者:松田 久一 出版社:東洋経済新報社 価格:¥ 1,575 ■キーワードは「劣等感」 収入が増えれば支出も増加する。誰に教えられたわけではないが、収入と支出は比例するものとほとんどの人が思ってきた。それは社会全体における暗黙の了解のようなもので、だから、「高価な物を買いたいならもっとがんばって働け」などという逆説のアドバイスも通用した。 しかし、この『「嫌消費」世代の研究』によれば、1980年前後(79〜83年)に生まれた「バブル後世代」は、どうも違うらしい。現在30歳前後になっているこの世代の人は収入に見合った支出をしない、いわゆる「嫌消費」傾向が強いのだ。マーケティングの専門家である著者、松田久一は彼らを細かく調査・分析し、その理由を解き明かそうと試みる。 著者の解説にしたがえば、バブル